秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
私は携帯端末のメモに注意が必要なことを打ち込む。布団乾燥機はたまに使うけれど、布団に直接掃除機をかけることなんて今までなかった。これからは気をつけなければと気を引き締める。

「カーペットもできれば外したほうがいいかな。ダニの温床になるし。特に子どもは背が低いから、舞い上がったチリや埃をダイレクトに吸い込んでしまう」

「そうね……」

カーペットのほうが柔らかいし、晴馬が遊ぶのにもちょうどいいかなと思って敷いたのだが、逆に晴馬を苦しめることになるなんて皮肉だ。

「一番の問題は、ぬいぐるみかもしれない」

「ぬいぐるみもダメなのか?」

兄が悲痛な声を出す。ぬいぐるみ遊びが、兄と晴馬のもっぱらのコミュニケーション手段だった。

「布団なんかと一緒だよ。それに、ぬいぐるみって、抱きしめたり振り回したりするだろう?」

アレルギーや喘息に縁のない私だって、ぬいぐるみを振り回したら、細かなチリや埃が舞い散ることは充分に想像できる。

そういえば、喘息を発症したあの夜も、晴馬は布団の上でぬいぐるみに顔を埋めていたっけ。まさかあれが原因?と背筋が凍る。

「今度からはつるつるのぬいぐるみを買ってこないとな」

つるつるのぬいぐるみって――フィギュア的な? もはやぬいぐるみじゃなくなってしまっている。
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