秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
兄の言うことはもっともだ。私がここで意固地になって家にいたところで、晴馬の体調がよくなるわけではないのだから。冷静にならなくては。

「茜音ちゃん。適度に気を抜くのも大事だ。晴馬くんが起きている間は、頼もしいお母さんにならなきゃいけないんだから、今くらいは力を抜いて」

涼晴の言葉にこくりと頷き、立ち上がった。

リビングを出る涼晴のあとを追いかける。ついてこいというように、私へちらりと目線をくれる。

「上着は?」

「……うん、持ってくる」

自室から緩めのロングカーディガンを持ってきて羽織り、涼晴のあとについて家を出た。

ふたりきりになったところで、私は声を押し殺して尋ねる。

「私になにか話があるの?」

しかし、涼晴は違うよと言って、ため息交じりに苦笑した。

「茜音のことが純粋に心配だっただけだ。そうツンツンしないでくれ。気分転換に連れ出す意味がなくなる」

私は涼晴に迷惑ばかりかけているし、隠し事もたくさんしている。やましい気持ちがあるせいか、責められるような気がずっとしている。
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