秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
「でも、兄がいるから気持ちを落ち着けていられる。いざクビになったとしても、兄がいてくれれば今すぐ食べるものには困らないだろうって、姑息な考え方をしてしまうの。ダメな妹よね」

もちろん、気持ちの上では甘えたくないし、自立したいとも思う。

シングルマザーになろうと決めたときは、ひとりでも生きていけると思っていたのに、いざやってみると全然ダメ。兄を頼ってなんとかギリギリ現状を保っている。

もちろん、いつか兄も結婚して、私のもとから離れていくだろう。だからそれまでには自立して、ひとりで晴馬を育てていく力を身につけなければならない。

「だが、これからはもっと大変になるだろう。仕事に育児に、晴馬の体調も気遣わなければならない」

涼晴は珍しく厳しい口調で、私を追い詰めるようなことを言う。

「ずいぶんネガティブなことを言うのね」

「現実だからな。向き合わなきゃならないこともある」

「……それでも、頑張らなくちゃ」

今さら後悔などできない。産まなきゃよかっただなんて軽々しく口にして、晴馬の存在を否定したくない。

涼晴の顔はつらそうだ。その表情にどんな思いが隠されているのか、私にはよくわからない。
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