秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
ご馳走を前に固まっている私へ、男性は「どうぞ食べてください」と勧めてきたが、とても手をつける気にはなれない。

「涼晴さんはアメリカで結婚し、当面の間はあちらで生活することになるでしょう。ご当主さまが引退されたあとは、日本で家業の経営を継いでもらいます」

「経営? 涼晴は医者なのに?」

「人の命を救う以上にやってもらわなければならないことがありますから」

「命を救う以上に大事なものなんて……!」

医者の仕事をバカにしているのだろうか。とても涼晴が承諾した内容だとは思えない。

「涼晴はなんて言っているんですか?」

「意志どうこうではなく、これは確定事項です」

暗に本人の意思などどうでもいいと言われたようで腹が立った。

なんて傲慢なのだろう、涼晴の人生なのに本人の意見はまるで無視? この人たちは人間性というものが欠如しているのではないだろうか。

私の怒りを感じ取り思うところがあったのか、これまで慇懃に振る舞っていた彼が口調を変えた。

「……私だって、こんなことを言いたくはありませんが」

うんざりした声で言い放ち肩を竦める。
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