秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
「昔ながらの由緒正しき家というものは、当主の意見が絶対だったりするものなので。世間一般の常識は通用しないんです」

まるで自分にも理解不能だとでも言わんばかりに嘲笑する。

この人も疑念を感じているのだろう。仕事だから仕方なく従っているのかもしれない。

「……話は戻りますが。たとえ涼晴さんが医者を続けることを選んだとしても、あなたのもとには戻ってきません。アメリカで結婚して、教授の後を継ぐことになるでしょうから」

胸がぎゅっと潰されそうになる。うつむく私に向けて、男性があきれたように言い放った。

「いい加減身の程をわきまえてください。そもそも涼晴さんにあなたのような一般人は不釣り合いです」

自分が特別いい女だなんて思ったことはない。涼晴から愛してもらえたことは奇跡に近く、夢のようだと思っていた。

……やっぱり所詮は夢なの?

私が答えられずにいると、男性は自身のバッグの中から分厚いファイルを取り出した。

「もちろん、タダで手を引けなどとは言いません。金銭でも、土地でも、お好きなものをご用意します」

呆れながら私は首を横に振る。お金でどうにかなる女だと思われるのは心外だ。
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