秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
つい最近買ってきてくれたのかと思いきや、涼晴は「いや」と首を横に振った。

「実は、二年前、すでに買っておいたんだ」

「え!?」

驚いて指輪を握りしめる。まさか、最初に訪れたあのときに!? 簡単に買えるような金額ではなかったはずなのに。

「だって、必要なときに売り切れだったら困るだろう? プロポーズはこのリングって決めていたから」

「そんな前から、結婚を考えてくれていたの……?」

「結婚を考えられないような人と、お付き合いなんてしないよ」

涼晴が困ったように笑う。どうやら私が思っていたよりずっと、彼は真摯に私と向き合ってくれていたらしい。

「一緒に暮らしたい。ちゃんと家族になりたいんだ」

私の左手を持ち上げて、ふたつのリングにキスを施す。

胸がじんと熱くなって、これまで我慢してきた彼への想いが溢れてきた。思わず涙がほろりと頬を伝い、慌てて袖口で拭う。

「……うれしい」

ぎゅっと左手の薬指を握りしめ、これ以上涙がこぼれ落ちてしまわないように唇をかみしめて堪える。

涼晴はそんな私の手を包み込んで、たしなめるように甘く叱った。
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