秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
「どうかしました?」

「いや――」

彼は短くかぶりを振って、額に手を添える。その態度から、なにかに苛まれているのだということは明白だった。

「もし、この関係を斗碧が知ったら、どう思うかと思ってさ」

今さらそんなことを切り出すなんて、どうしてだろう。

彼にしては珍しく自虐的な表情をしていて、不安が湧き上がってきた。

私と親しくしたことを後悔している? 

もしかしたら、私の想いに気づいて距離を置こうとしているのかもしれない。これ以上近づかれては迷惑だからと……。

彼のことが好きだ。最初から、ずっと。

一緒に食事をするようになった頃は、とにかくドキドキして、彼と過ごせるだけでうれしかった。いつか私を見てくれないかな? そんな淡い期待を抱えていた。

でも、ふたりの時間が増えれば増えるほど、もどかしさが募っていった。

今日も関係は変わらなかった。今日も。今日も……。

これだけ時間を積み重ねてもなんの変化も起きないのなら、彼を射止めるなんて一生無理かもしれない。私に女性的な魅力がなかったということだ。

「私、もう来ないほうがいいですか」

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