秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
彼の目はひどく疲れて見えて、それでいてギラつくような鋭さもあった。

なにを求めているのだろう。どんな答えを期待している?

「私にとって、涼晴さんは――」

兄の友人です、そう当たり障りのない答えを言おうとして、唇が動かなくなった。

真っ直ぐなその眼差しの前で、嘘をつくことなんてできない。

たとえ拒まれたとしても、最後まで彼の前では私らしくありたい。

「特別な人になれたら、うれしいです」

はっきりと答えると、彼が目元を歪ませた。ほしい答えではなかったのかもしれない。

「ごめん」

涼晴さんは罪悪感に満ちた声で答えて、目の上に手を当てた。

ふられちゃった。そう確信して、あきらめがつく。もうここにはいられない、そう感じて立ち上がった瞬間、彼に腕を掴まれた。

「君の口から言わせるなんて。答えはわかっていたのに」

腕を引かれ、すとんとソファに座らされる。

彼はとっくに私の気持ちに気づいていたらしい。

でも、それをわざわざ私の口から言わせるなんて、なにがしたかったの?

尋ねる間もなく、彼の腕が私の体に絡みついてきて、きゅっと頭を抱き込んだ。

彼の胸が頬にぶつかり、ドクン、ドクンという大きな鼓動が耳の奥に流れ込んでくる。

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