内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
「大泉さんにはさっき会社を辞めてもらった。もう祐奈の前に現れることはないよ」
 公園のベンチに並んで腰を下ろして、大雅が祐奈の手を握る。
 たくさん泣いて、少しぼんやりとしていた祐奈はハッとして彼を見た。
「つらい思いをさせて、ごめん」
 眉を寄せて、心底申し訳なさそうにする大雅に、祐奈は慌てて首を振る。
「そんな……!」
 でもそこで気になることを口にした。
「だって大泉さんは大雅の婚約者なんでしょう……?」
 その言葉に大雅は険しい表情になり、すぐに首を振る。
「違う。彼女はただの秘書だ」
 そして重ねた手に力を込めて、話し始めた。
「二年前に、彼女との間に縁談があったのは本当だ。彼女はアスター銀行の頭取の娘だから、まぁ、その関係で。でも話が出た時点ですぐにお断りしている。その頃の俺は祐奈と別れたばかりだったが、祐奈と一緒になれないなら、誰とも結婚するつもりはなかったから」
 奈々美から聞いた話とはまったく違うその内容に、祐奈は唖然としてしまう。
 でもすぐに大雅の目を見て頷いた。
「信じるわ」
 大雅が安堵したように息を吐いて、また話し始めた。
「縁談を断ってからも彼女は秘書室に居続けた。頭取からは縁談の件はさておいて、社会勉強をさせてほしいと言われてね。……はっきり言って、祐奈と再会する前の俺はちょっとやけになっていたから、どうでもよかったんだ。でもそんな俺の態度がよくなかった。彼女は諦めてなかったんだ。祐奈と俺のことを嗅ぎ回って……ひどいことを言われたんだろう? 本当にごめん」
 祐奈はゆっくりと首を振った。
「それは、もういいわ」
 奈々美の言ったことが、真実でなかったのなら罵倒されたことも含めて、もうどうでもいい。
 それよりももっと気にかかることが、祐奈にはあった。ためらいながら祐奈はそれを口にする。
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