内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
「……でも、縁談を断ったりして大丈夫なの? 宇月計画はダメになったりしない?」
 墓参りの時に母の話を聞いてから、祐奈の胸に重くのしかかっていたことだった。
 父のことで天沢宗久を恨むのは、まったくのお門違いだった。
 彼は父を裏切ってはいないし、きっと父も裏切られたなんて思っていない。むしろ今回の計画を天国で心から喜んでいるに違いない。
 計画が白紙になるのは嫌だった。
 その祐奈の心配を、大雅が即座に否定する。
「大丈夫、そんなことにはならないよ」
 力強い声と言葉で。
「確かに宇月計画の融資銀行はアスターだが、うちには他にも付き合いのある銀行はある。今すぐにだって、変えることができるんだ」
 その彼の目を見て、祐奈はホッと息を吐いた。
「そうなんだ。よかった……」
 説得力のある彼の言葉に祐奈の心配ごとが解けてゆく。
 でもそこで自分の手に重なっている大雅の手が、わずかに震えていることに気が付いた。
「大雅……?」
 祐奈は首を傾げて大雅を見る。その祐奈の視線から逃げるように彼は目を伏せて、重い口を開いた。
「……十年前の祐奈のお父様の話を……聞いたよ」
 祐奈は言葉を失って息を呑む。
 もちろん言わなくてはと思っていた。
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