【完】片手間にキスをしないで
返事に戸惑っていると、美々は「は~ぁッ、言えてすっきりした!」と背伸びをする。
急な切り替えに目を丸くするも、その彼女らしさに夏杏耶はこっそり安堵した。
「ありがとう、美々。でも大丈夫だよ。どっちかというと鮎世の方が、」
「え、鮎世くん?何、何かあった?」
「食い気味だねぇ。俺だって平気だよ。こんなんでも丈夫だから。メンタルも」
「あぁー、確かにそうかも」
「美々ちゃん、それ他意はないよね?」
「他意しかない」
「何?何の話?」
「うーん、カーヤちゃんも気付いてると思うけどねー」
「どうかな。まぁ、それならそれでいいけど」
「はい?」
学校でボロを出さないように襟を正すだけだった通学路が、今日はやけに賑やかで、眉を寄せながらも笑みが零れる。
「で。あの黒い集団はなんだったの?なんで先輩と一緒に住んでるの?」
でも美々にとっては、その流れも関係ない。しっかりと核心をついてきた。