【完】片手間にキスをしないで
「それこそ夏休みなんて、ずっと一緒に居られるんだし……浮かれるとこじゃない?」
「う、うん……いやぁ……」
「何、その浮かない反応?」
ズイッ、と正面から顔を寄せる美々。まだ来ない隣、静の席に座って頬杖をつく鮎世。
夏杏耶は2人を交互に見た後で、机に伏した。
「奈央クン……最近、私のこと避けてるみたいなんだよね……」
「「え?」」
籠った声を拾うように、2人は距離を詰める。少し顔を上げると、思っていたより近くで囲われていて、不覚にも胸が鳴った。
「受験生だし、忙しいのは分かるんだけど……さすがにおかしいな、って。急にバイトも始めちゃうし」
「家では?普通なの?」
「普通……何もなさすぎて、普通」
「うーん。たとえば、そうね。寝込み襲われたりしない?」
「それは、どっちかというと私が……」
「「え?」」
「う、うそ!しないしない!されない!」