身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
一瞬言葉を失いそれまで浮かべていた笑みをすっと消した凛音は、口ごもりながら問いかけた。

「ああ。今日の昼食会の合間に近いうちに香波と会ってもいいと言ってきた」

「そんな……」
 
すでに耳にしていたとはいえ、柊吾が見合いをOKしたと聞き凛音はうろたえた。

今朝の柊吾は普段と変わらない様子で、そんな素振りはまったく見せなかった。

自分は単なるセフレだとしても、柊吾が具体的に結婚を考えるようなときには事前に話してもらえると思っていのた。

柊吾から凛音以外の女性の存在を感じたことがなかったのがその証拠だ。

たとえ愛していなくても、真摯に凛音に向き合い、可愛がってくれた。

それは、もしも柊吾が今も瑠依を忘れられずにいると気づいていなければ、自分は柊吾の恋人だと錯覚してしまうほどの熱烈な優しさだ。

セフレに向けるにしては極上すぎる優しさに、自分は甘えていたのだろうか。

そして、凛音は柊吾が見合いの件を口にしないのは、見合いを受けるつもりがないからだと、心のどこかで期待していたのかもしれない。

「岡崎さん?」
 
ぼんやりと立ち尽くす凛音に、瑞生はそれまで浮かべていた笑みを消した。




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