身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
スケジュールに目を落としながら瑞生が問いかける。
「専務は来週から二週間ほど海外の営業所に出張です。その間工場で勉強させてもらいなさいと言われたそうです」
「そうか。だったら一泊して工場のラインを見学させてもらうといい。うちの主力商品がどれほど丁寧に作られているのかを知るいい機会だからな」
「ありがとうございます。早速工場の都合を聞いて、可能ならお願いしてみます。私からの連絡事項は以上ですが、社長からはなにかありますか?」
この後瑞生には外出の予定があり、凛音は手元のタブレットを確認しながら話を切り上げた。
「そうだな。急ぎのものはないけど。……あ、一応伝えておこうかな」
机越しに身を乗り出しにんまりと笑う瑞生の顔を見て、凛音はまた妻の惚気話が始まるのだろうと苦笑し、ふっと気を緩めた。
「今回はどんなお話ですか? 奥様がとても素敵で優しいとは何度もうかがって――」
「柊吾が香波と会うことになったんだ」
凛音の言葉をあっさり遮った瑞生は、机に頬杖をつき面白がるような表情で凛音を見上げた。
「え……あ、あの。お見合いって昨日お聞きした?」