身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
けれど柊吾の胸に抱き込まれた途端全身が熱を帯び体温が上がった気がした。

同時にこれまでになくひどい目眩と吐き気で不安だった心が次第に落ち着きを取り戻していく。

凛音は無意識に柊吾に身を寄せた。

こうして柊吾の胸の中にいるときが一番ホッとし安心できる。

「いつも大丈夫って言ってるけど、本当か?」

凛音の言葉に納得できないのか、柊吾は凛音の体温を確認しようと、お互いの額を近づけた。

凛音はハッと後ずさり、慌てて顔を背けた。

「あ、あの。熱はありませんから。ちょっと貧血かな? というか、単なる寝不足です」

瑞生の視線を意識し、凛音はそっと柊吾の腕の中から抜け出した。

その途端安全地帯から放り出されたような感覚が生まれ不安になる。

「瑞生、今日はこれから経済界の懇親会に出るって言ってたよな」

柊吾は凛音の気遣いなど無視して再び凛音を抱き寄せる。

「あ? ああ、そうだけど」

柊吾の語気の強さに瑞生はいぶかしげに目を細めた。

「だったら医務室に連れて行ってそのまま帰宅させていいよな」

「え、柊吾さ……いえ、壬生課長、私なら大丈夫です」



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