身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~

「本当に申し訳ありません。単なる寝不足なので大丈夫です。はい、明日一日休ませていただいて体調を整えます……わざわざありがとうございました」 
 
凛音は電話を終えてスマホをローテーブルの上に置いた。

電話の相手は瑞生だった。

早退した凛音を心配し明日も念のため休むようにと繰り返し、出社を決して認めようとしなかった。

それどころかよほど凛音の体調が気がかりなようで。

『体調が回復しないようなら病院に行っていろいろ……そう、いろいろ検査してもらえ』
 
諭すように何度も言っていた。

過保護なところは柊吾とそっくりで、凛音はくすりと笑った。

「仕方がないな……明日はありがたくゆっくりさせてもらおう」

社長自ら電話をかけて指示されたのだ、従わないわけにはいかないだろう。

時計を見ると十八時を過ぎていて既にベランダの向こうは真っ暗だ。

凛音はソファから立ち上がり乱れたブランケットを整えた。

会社を早退してから三時間ほど眠り、目眩も吐き気も治まっている。

ただ、今も眠気だけは相変わらずで、瑞生からの電話に起こされなければまだまだ眠り続けていただろう。

どれだけ寝不足だったのかと苦笑する。

炭酸水でも飲んですっきりしようとキッチンに向かったとき、スマホがメッセージの着信を告げた。柊吾からだ。

【今会社を出た。予定通りいなり寿司とだし巻き、苺ムースを買って帰る。他になにか食べられそうなものはあるか?】

「え、こんな早い時間に帰ってきて大丈夫?」
 
普段の帰宅時間は早くても二十一時頃だ。



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