身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
柊吾はそう言って凛音を病院に連れて行こうとしたのだが、単なる寝不足による体調不良だ。

わざわざ行くほどではない。

終業時間まで仕事を続けるつもりの凛音に、柊吾はだったらまずは病院に連れて行くと言い張り続けた。

そして結局、凛音は柊吾に折れる形で渋々早退したのだ。

タイミングよく車で出勤していた柊吾は自ら家まで送ると言い出した。

けれど、それだけは受け入れられないと全力で断り、タクシーで帰ってきた。

残したままの仕事が気になるが、まとまった時間眠ったことで心身ともに落ち着いている。

柊吾の言葉に従ったのは正解だったようだ。

そのとき、柊吾から再びスマホにメッセージが届いた。

【凛音が欲しがっていたのはこれだろう? 手に入ったから楽しみにしてろ】

「え、なに?」

添付された写真を見ると、そこにはグレーとブルーを基調にした表紙が評判の写真集が写っていた。

それは発売と同時に完売した有名建築家の本庄遙人の作品を収めた写真集だ。

「うそっ。あれだけ探しても見つからなかったのに」

凛音は写真をまじまじと見つめ、声を震わせた。



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