身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
やはり自分は柊吾の恋人にはなれない単なるセフレどまりなのだ。だから柊吾は自身について詳しく話そうとしないのだ。

そう感じた凛音のショックは大きかった。

覚悟していたとはいえ現実を突きつけられたその日以来、凛音は柊吾のプロフィールに関して踏み込まないよう心がけている。

それは柊吾と完全にはわかり合えないということを意味しているが、柊吾が家族の話題を避けるのならば、凛音も自分の家族について話さなくていい。

柊吾に自分が瑠依の妹だと話す必要もないということだ。

だから柊吾から距離を取られるのは悲しいが、瑠依との関係を打ち明けずに済むのはそれはそれでありがたい。

なんとも複雑な心境だ。

「だから写真集の話もしなくていいよね……」

凛音はスマホに表示されたままの写真集の画像を食い入るように眺めながら、中央に記された建築家の名前を指先で優しく撫でた。

『本条遙人』

彼は国内外問わず活躍を続ける建築家であり瑠依が大学卒業以来勤務している『本条設計デザイン事務所』の所長でもある。

そして、凛音の父親でもあった。





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