身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
どうやら柊吾は言うつもりのないことをつい口が滑って言ってしまったようで、視線を泳がせ口ごもっている。

そうなると、関係者と知り合いというのも怪しい。

さらに詳しく事情を聞いてみたいと思ったが、そう思ったと同時に諦めた。

「……そうですか。だけど、どう考えても私が手に入れられるような物件ではないので、誰がデザインしたのか、誰が携わっているのかは関係ないですね」

正直にいえば詳しい事情を突っ込んで聞いてみたいのだが、これまでそういうことをしてこなかったのもあり、思いとは裏腹になんでもないという笑顔で聞き流した。

実際はなんでもないどころかもっと話を広げて美術館についても盛り上がってみたいのだが。

凛音が話を逸らした途端に安堵した表情を浮かべた柊吾を見ると、話を蒸し返すのは無理だと納得するしかなかった。

おまけに表情も和らいでいる。よほど凛音にこれ以上尋ねられたくなかったのだろう。

柊吾から距離を取られなにも話してもらえないことに、凛音はきゅっと唇をかみしめる。

その事実ならとっくに受け入れているはずだ。



< 124 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop