身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
そう結論づけた途端、凛音はこれまでとは比べものにならないほどの目眩を感じた。写真集を掲げたままの手が冷たくなっていく。

「エッジが効いたデザインだな……たしかに俺も間近で見てみたい。あ、窓によってデザインが違うのか」
 
凛音の変化など気づかず柊吾は好奇心に満ちた声を上げている。

「全体的に凝ったデザインで一見ホテルに見えないところはさすが本条遙人……参考になるな」
 
柊吾は感心するようにつぶやくと、ひととき黙り込む。

写真集に遮られその様子は見えないが、柊吾が写真を熱心に眺めているとわかる。

美術館もそうだが、柊吾がこれほどこの写真、というよりも建築に興味を持つとは思わなかった。

「参考」と口にした意味も謎だ。

それもやはり瑠依の影響なのだろうかと、凛音の思考はますますネガティブになっていく。

「俺も実際に見てみたいけど……そういえば凛音は行ったことがあるって言ったよな」
 
それまで写真集を夢中で眺めていた柊吾が、突然低い声でつぶやいた。

「凛音、このホテルにはいつ、誰と行ったんだ。まさか男と行ったのか」

「え……? 男?」
 


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