身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
時折、期待混じりの甘い言葉までささやいて、この状況を楽しみ始めた。

「朝までこうしてるのもいいな。風呂にも一緒に入って着替えさせてやる。なんならいつまでこうやって凛音が俺にしがみついていられるか、試してみるか?」

のどの奥で楽しそうに笑って冗談を飛ばす余裕まで生まれたようだ。

それからしばらくの間、凛音を胸に抱いた柊吾はひとりで軽口を叩き続けていた。

訳がわからないながらも優しく凛音を受け止め、気を悪くした様子もない。

同時に、たとえ柊吾が今も瑠依と連絡を取り合っていても、そして瑠依に想いを残していても離れられないと……嫌でも自覚する。

気がつけば凛音は柊吾の膝の上に横抱きにされていて、甘やかな空気がふたりを包み込んでいた。

まるで世界に柊吾とふたりきりのようだ。

なにかにつけて柊吾は凛音を部屋に閉じ込めたいと口にするが、もしも今求められたなら柊吾ひとりに愛でられる籠の鳥になってもいいと答えるかもしれない。

そして、柊吾以外のなにもかもを放り出し、今のように柊吾にしがみついて離れない。

無理だとわかっていてもそう願ってしまう自分があまりにも切なくて、凛音は唇をかみしめた。




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