身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
柊吾を愛してよかったと、凛音は自分に言い聞かせた。

すぐには無理でもいつか柊吾への想いは昇華できるはず。

そうであってほしいと凛音は願う。

「黙り込んでどうした? 起きてるか?」
 
聞き慣れた優しい声を聞き、凛音はたまらず柊吾の体にしがみついた。

こうしていられるのもあとわずかかもしれない。
凛音は広い胸に顔を埋め、愛する人の存在を確認する。

「甘えるのはもちろんいいけど、こんな調子じゃいつまでも苺ムースが食べられないな」
 
柊吾の胸から響く笑い声に、凛音はずっとこのままでいたいと心が揺れる。

長年抱いていた柊吾への想いは、スイッチを切り替えるように簡単にオフできないのだ。

やはり柊吾が愛しくてたまらない。

けれどもう無理だ。

このまま凛音と一緒にいると柊吾も悩み続け、誰もが不幸になる。

凛音は強く目を閉じ小さく首を横に振ると、一度大きく息を吐き出した。

そして再び目を開いたとき、それまでの思いつめた様子は消え去り、キリリとした眼差しで柊吾を見つめていた。

「凛音……?」

凛音の変化が伝わったのか、柊吾は戸惑い凛音の様子をうかがっている。





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