身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
凛音は賢明に笑顔を作り、ほんの束の間、柊吾の顔をまっすぐ見つめた。

「あ……」

左目の目尻には近づいて見ないとわからないほど小さなほくろ。

柊吾は知らないが、色気を感じさせるそのほくろは凛音のお気に入りだ。

ベッドで柊吾に抱かれるとき、気が遠くなるような快感に包まれながら無意識にほくろに触れていた。

抱かれるほど近づかなければ気づかないほくろ。

凛音以外の女性がそれに気づく日はそう遠くないのかもしれない。


そう思うとやはり切ない。

この先何度も味わうだろう感情を心の奥にしまい込み、凛音は柊吾の肩に手を置いて顔を近づけた。

「あの、柊吾さん」

吐息が触れ合うほどの距離。

凛音は柊吾の瞳に映っている自分は笑顔だと確認する。

「ん? 甘えたいなら時間無制限でつきあうぞ」

お互いの額を合わせる柊吾の方が、凛音に甘えているようだ。

目尻を下げ口元を綻ばせている。

「それは魅力的な提案ですね」

あまりにも近い柊吾に照れながら、凛音はかすれた声で答えた。

「だろう? 凛音専属だ。存分に甘えていいぞ」

「だったら……」

凛音はそこで一度口を閉じると、頬を赤く染め意を決して口を開いた。

「デザートに苺ムースは最高ですよね……。でも、今夜は、別のデザートはどうですか? それって、私のことですけど」
 



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