身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
柊吾はあっさりとそう言って、微かに瞳を揺らした。

なんでもない様子だが、よく見れば口角が上がっている。

瑞生の言葉がうれしいのだろう。

柊吾も素直になればいいのにと、凛音はこっそりと笑みを浮かべた。


岡崎凛音と壬生柊吾は、国内屈指の規模を誇る持ち株会社『萩森ホールディングス』の傘下の中でも売り上げや従業員数がグループ中最大の『ハギモリビール』で働いている。

ハギモリビールは歴史も長く、ここ二十年以上ビール類の売り上げ第一位を維持している。

近い将来萩森ホールディングスのトップに立つと目されている萩森瑞生は父親である前社長の跡を継ぎ、現在ハギモリビールの社長を務めている。

昨年大企業の社長令嬢と結婚し、公私ともに順調な日々を送っている。

同期入社の柊吾とは大学時代からの付き合いで、気心が知れた間柄だ。

凛音は入社以来五年間総務部秘書課に在籍していて、昨年六月に瑞生が社長に就任したと同時に瑞生の秘書のひとりに任命された。

柊吾は『ビール事業部』の課長であり、この十年以上の間にいくつものヒット商品を世に出したやり手だ。



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