身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
「あれだけ抱き合っておいて、まだ恥ずかしいのか? と言ってる俺もそのかわいい顔が見たくてからかってるんだけどな」

柊吾は、凛音の手首を掴み、そのまま手の平に口づけた。

「ひゃっ」

突然の刺激に、凛音の体が小さく飛び上がる。

同時にふたりの間に隙間が生まれ、それが気に入らないのか柊吾はぐいっと凛音を引き寄せた。

「寂しいからって、浮気するんじゃないぞ」

打って変わった低い声と強欲な瞳。

手の平で柊吾の唇の動きを感じ、凛音はコクコクと何度もうなずいた。

浮気なんてするわけがないのだ。

柊吾以外の男性に目を向けたことなど一度もない。

見合いをするのは柊吾の方だ。

なのにどうして凛音が期待するような言葉を口にするのだろう……残酷だ。

「浮気なんてしない……だって私はこれからもずっと」

柊吾が大好きだから――そう続けようとしたが、今その想いを告げても柊吾を苦しめるだけだ。

凛音は目を伏せ、黙り込んだ。

「おい、冗談だ。泣くなよ」

「泣いてません……」

本当は目の奥が熱くて今にも涙がこぼれ落ちそうだが、凛音は賢明に堪えぷいと横を向いた。



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