身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
柊吾を送り出した途端、凛音は血の気が引いていくのを感じ、慌ててリビングのソファに横になった。
貧血を起こしているのかもしれない。
早朝、瑞生からの電話で北海道出張の前倒しが告げられた柊吾に心配をかけたくなくて黙っていたが、目が覚めたときから気分が悪かった。
昨夜いつになく積極的に柊吾と愛し合ったからに違いないが、柊吾と離れる決意をして心身ともにいっぱいいっぱいだというのも影響しているのかもしれない。
だとしたらいつまでこの体調不良は続くのだろうと、凛音は落ち込んだ。
柊吾への想いが消えるまで、体調不良は続くのだろうか。
「それは……困る」
あとどれだけ柊吾の側にいられるのかわからない。
その大切な時間は柊吾を目一杯愛して、元気に笑って過ごしたい。
凛音はクッションを抱きかかえ、体を丸めた。
柊吾が出張でいない二週間で、なんとしてでも体調を整えなければならない。
単なる寝不足だと安易に考えていたが、一度病院で診てもらった方がいいだろう。
それにしても、終わりが見えない体調不良が続くのなら、それこそつわりの方がまだ耐えられると凛音はふと思った。
少なくとも出産と同時につわりもなくなり吐き気も治まるのだから。
「え……妊娠……つわり?」
凛音はハッと起き上がった。
「まさか……でも」
凛音は抱えていたクッションを放り出し、見た目にその気配などまるでないお腹に恐る恐る手を置いた。