身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
問診票を確認する医師の言葉に、凛音は表情を固くした。

「あの……まだ伝えていなくて。……それに結婚する予定はなくて」

凛音は膝の上に置いた手を再び強く握りしめた。

妊娠に感激し現実を忘れていたが、近く見合いをする柊吾に伝えるわけにはいかないのだ。

「そう。出産までどう経過をたどるのか予測できないから、パートナーはもちろんほかにも協力してくれるひとは多い方が心強いわよ」

凛音のようなケースは珍しくないようで、未婚について深く問うこともなく先生は安心させるようにうなずいた。

診察を終えた凛音は、病院を出たその足でデパートに立ち寄りいくつかの惣菜を買った。

アジの南蛮漬けやピクルスなど気づけば酸味が強いものばかりを買っていて、妊娠したのだと改めて実感する。

妊娠に関する本やノンカフェインの茶葉も買い、柊吾の家に帰ったときには十五時を過ぎていた。





< 158 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop