身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~


帰宅後、凛音は買ってきた惣菜を食べながらバッグに入れっぱなしだったスマホを手に取った。

昨日今日と突然仕事を放り出してしまい、同僚たちが困っていないか気になったのだ。

「え、どうしよう……」

スマホには柊吾からのメッセージが届いている。病院でマナーモードに切り替えたままで気がつかなかったようだ。

【言いつけどおり家でゆっくりしているか? こっちは思ったよりも寒い。帰ったらふたりで鍋だな】

「北海道だもんね……冬も早いよね」

凛音が以前訪ねたときも冬の寒い日だったと思い出し、柊吾のリクエスト通り鍋の用意をして待っていようと決めた。

「だけど、どうしよう」

妊娠がわかって以来、凛音は柊吾との今後を考え続けている。

一度は柊吾から離れようと決意したもののそれが正しいのか、心が大きく揺れているのだ。

子どもを父親から引き離してもいいのか、そして柊吾から父親になる権利を奪っていいのかどうか。

柊吾が凛音の妊娠を喜んでくれるのかもわからない。

「でも、やっぱり柊吾と……」

ひとりでは結論を出せないことばかりだが、本音ではやはり柊吾と結婚したい。

妊娠を盾に結婚を望むことに抵抗がないわけではない。

柊吾を陥れたようで申し訳ない気持ちもあるが、柊吾と子どもと一緒に生きていきたい。

それが凛音の本心だ。



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