身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
「だけど、ちゃんと食べないと体がもたないぞ」
 
相変わらずからかうような口ぶりの柊吾をチラリと見ながら、凛音は唇を尖らせた。

食欲がないのは誰のせいだ。

「私は柊吾さんについていくだけでも必死なんですから、手加減してもらわないと困ります」
 
この際言っておかなければと思い切ってそう口にしても、やはり恥ずかしさは消えず言葉尻は弱々しく説得力もない。

本音では、凛音も柊吾と抱き合える時間が愛しく大切なのだ。

強気に出られないのが少し悔しい。

「多少なら手加減するけど、俺しか知らない凛音を見るのは極上の楽しみだからあまり期待しないでくれ」

「極上……」
 
柊吾の言葉に、凛音は言葉に詰まる。

「あ、あの。とりあえずお手柔らかにお願いします」
 
朝から濃密な会話が続いて疲れた凛音は、小さく息を吐き出した。

もともと食欲がなかったこともあり、心配する柊吾を気にしつつも最後にトマトを口にして朝食を終えた。

「ごちそうさま。時間がないから残しちゃって、ごめんなさい」
 
凛音は立ち上がり、柊吾に軽く頭を下げた。

「昼は忙しくてもちゃんと食べろよ」



 
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