身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
柊吾が心配気に眉を寄せながら立ち上がり、凛音の傍らに寄り添った。

そして当然とばかりに凛音の頭を優しく撫でて胸に抱き寄せた。

「わかってます。子どもじゃないので心配しないで下さい」
 
凛音はふふっと笑いながら柊吾の胸に体を預けた。

体に残る疲れがほんの少し和らぐのを感じる。

柊吾が言うところの極上の楽しみというのは、凛音にとってはまさにこの瞬間だ。

柊吾の胸に守られ抱きしめられていると、普段抱えている不安や悩みなど大したものではないと思えるから不思議だ。

そしてこのときだけは、自分は柊吾にとって唯一無二で誰よりも愛されている存在かもしれないと思える。

凛音は柊吾の背中に手を回し、まるで絶対に離れないとばかりに強く抱きしめた。

「ん? 朝あれだけ愛したけど足りなかったか?」
 
柊吾の軽口をたたく声につられて凛音もくすくす笑い声をあげた。

「足りないなんてとんでもない。十分です。でも……今晩も泊まっていいですか?」
 
柊吾の胸に顔を埋めたまま早口でそう言った凛音を、柊吾は顔をしかめて見下ろした。



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