身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
祝いの言葉よりも批判の方が多いかもしれないと、覚悟もしていた。

「ねえ、お酢の匂いしかしないこの塩焼きそば、本当においしいの? 食べてる最中から喉が渇きそうだよね」

口が悪いのが難点だが、史緖は間違いなく凛音の味方だ。

心強い。

「だからひと口食べてみてよ。おいしいから」

史緖は全力で顔をしかめて見せる。

「ふふっ。美人が台無し」 

凛音は笑い、再び食事に取りかかる。

妊娠していると伝えて気分が楽になったのか、今ならなんでも食べられそうだ。

「じゃあ、私は買ってきたチーズとワインをいただこうっと」

聞きたいことならまだまだあるはずだが明るく空気を変えた史緖の優しさに、凛音はホッと息を漏らした。

柊吾に妊娠したと告げて自分から結婚を申し込むつもりではいるが、見合いを控えているに違いない柊吾がどんな反応を見せるのか、考えるとやはり不安だ。

当初の思惑通り小高香波と結婚して凛音は愛人の立場での出産を望まれるかも知れない。

ふとしたときにそんな考えが頭に浮かび、気を抜くとどこまでも落ち込みそうだったのだ。



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