身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
凛音の横からスマホを覗き込み、史緖は面白がるように話している。

その言葉に凛音は顔を歪め、写真をじっと眺め続ける。

「この男性。顔は見えないけど身につけてるスーツは仕立てが良さそうだし、チラリと見える腕時計ってスイスの一流ブランドで一本三百万はするよね。壬生課長が同じのを持ってるから調べたことがあるんだよねー。さすが小高香波、恋人も並じゃない」

「うん……この時計……柊吾さんのと同じだ」

スマホを両手で強く掴み、凛音は震える声でつぶやいた。

小高香波と並んでいる男性の袖口からチラリと見えている時計は、柊吾が気に入ってよく身につけているスイスの高級腕時計だ。

成人のお祝いにと祖父から譲られた限定品らしく、世界に十本も流通していないと聞いている。

そんな希少な時計を日本国内で柊吾以外に身につけているひとがいるとは思えない。

おまけに男性のスーツは今朝柊吾が着ていたのと同じグレーだ。

背筋をまっすぐに伸ばして椅子に腰掛ける背中には見覚えがある。

「凛音? どうしたのよ。そんなに気にするなんて小高香波のファンだったっけ」



< 179 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop