身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
瞬きも忘れ呆然と写真を見つめる凛音に、史緖がいぶかしげに問いかける。

「ううん、そうじゃなくて……実は、その」

凛音は力なく頭を横に振り、重い口を開いた。

顔色は悪く、真っ青だ。

「この写真……柊吾さんだ」

凛音はささやくようにつぶやき唇をかみしめた。驚きと悲しみがあっという間に全身に広がっていく。

「え、なんで? 壬生課長と小高香波って知り合い? そんな話聞いたことないけど」

史緖は訳がわからず凛音の手からスマホを受け取った。

「たしかにこの時計、壬生課長のものと一緒だけど。だからってあの小高香波だよ? まさか――」

「柊吾さんにお見合いの話があるの。相手は小高香波さん」

表情をなくし焦点が合わない目で凛音はつぶやいた。

そしてそのまま椅子の背に力なく体を預け、うつむく。

「ま、まさか。あの壬生課長がお見合い? 全然似合わないし断るに決まってるじゃない」

できれば凛音もそう思いたい。

たとえ見合いの席についても断ってくれるのならそれでかまわないし間を取り持つ瑞生の顔を立てるために会うのも仕方がないと思っている。



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