身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
スマホから聞こえる声に耳を傾けていた凛音は絶望的な気分で唇をかみしめた。
今柊吾のスマホで話しているのは間違いなく小高香波だ。
どうやら史緖もそれに気づいているようで、苦々しい表情を浮かべスマホを睨みつけている。
『そうなの、隠れ家的な小さなホテルなんだけどとても素敵で私はいつもここを利用しているのよ。柊吾さんも馴染みみたいで驚いたわ』
「馴染み……」
小高香波の言葉に凛音は小さく反応する。
今まで北海道に馴染みのホテルがあるとは聞いた記憶がない。
社員が北海道に出張のときには萩森ホールディングスと提携している白石ホテルに泊まることが多い。
世界展開していて決して小さなホテルではなく、隠れ家というイメージでもない。
やはり柊吾は小高香波と人目を避けて会っていて、今夜はともに過ごすのだろうか。
凛音は椅子の上で脱力し、うなだれた。
小高香波と柊吾が会っている。それもホテルで。
それは見合いどころの話ではない。
すでにふたりの関係は深まっていて、ホテルで過ごすのも今夜が初めてではないのかもしれない。
今までそんな素振りなど微塵も見せなかったのに、いつの間に柊吾は話を進めていたのだろう。