身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
凛音は肩を落とし大きくため息を吐き出した。

「凛音、ちょっと、大丈夫?」

激しく落ち込む凛音の横で、史緖はどうすればいいのかとおたおたしている。

それはよくわかっているのだが、今の凛音に笑顔を返して安心させる余裕はない。

浮上する糸口を見つけられないまま、胸の痛みにひたすら耐えるだけだ。

「……ここまで凛音を苦しめて……あの男、絶対に許さない」

「え?」

凛音は背筋に悪寒が走るような低い声に反応し、顔を上げた。

すると目の前にはこぶしを握りしめる史緖の姿があった。

なにかを殴りつけたい衝動をどうにか抑えるようにぷるぷると震え、手の甲の関節が浮き出て色も変わっている。

「……史緖?」
 
史緖は顔をひきつらせ低いうなり声を上げている。

どうやら凛音を悲しませる柊吾への怒りに堪忍袋の緒が切れたようだ。

史緖のこの顔は危ない。

「ね、ねえ、史緖、落ち着いて」
 
悪い予感がして凛音が声をかけたと同時に、史緖はスマホに向かって大声をあげた。

「あの、壬生課長はどうしてそこに小高さんと一緒にいるんですか? 仕事でそっちに行ったはずですけど? まさか前から約束していたんですか?」



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