身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
考えれば考えるほど落ち込みそうなことばかりが頭に浮かび、凛音はなかなか電話に出られない。

その間も着信音は鳴り止まず、凛音が出るのを待ち続けている。

それはまるで強気で諦めの悪い柊吾のようで、凛音は降参とばかりに電話に出た。

「もしもし……」

『凛音? なかなか出ないから倒れてるんじゃないかと心配したぞ』
 
電話に出た途端なんの前置きもなく柊吾の大きな声が聞こえた。

「ご、ごめんなさい。えっと……倒れてません、ベッドでうとうとしていただけで大丈夫です」

反射的にそう言ってごまかし、柊吾には悟られないよう小さく息を吐き出した。

『だったらいいけど。起こしたんだな、悪い。体調はどうだ? 今日は言いつけ通り家でのんびりしてたのか?』

「あ……」

凛音はとっさにお腹に手を当て、言いつけを破り病院に行って妊娠を告げられたと思い出す。

そのことを柊吾に伝えようかと悩んだが、脳裏に小高香波の姿がよぎり、今は無理だと思い直した。

いずれ伝えようとは思うが、電話ではなく顔を見て直接言うべきだろう。

『まさかでかけたのか? 目眩があるからやめろって言っただろ』



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