身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
凛音はそう答えながら、まるで面接を受けているようだとそっと苦笑した。

「あの、社長の奥様もつわりはひどいんですか?」

「どうだろう。初めての妊娠だから、たとえ少し吐き気がしただけでも俺から見ればすぐにでも救急車を呼びたいほど心配になるし、そのたび妹からは妊娠は病気じゃないって注意されてる。経験者の言葉は強いよな」
 
さっきまでの荒々しい様子とはうってかわり、瑞生は普段通りの穏やかな笑みを浮かべている。

電話での会話を凛音が盗み聞いていたとは気づいていないようで、安心した。

「あ、妹なんだけど、美容師で店も開いているんだ。そういえば、匂いに過敏になりがちな妊婦さんのための時間をとってるって言ってたな。岡崎さんもどうかな。妹のところで気分転換でも」

「気分転換ですか? それはありがたいですけど、つわりが落ち着いたころにお願い――」

「あ、苑花? 今日の店の予約はどんな感じだ?」

いつの間にか電話をかけていた瑞生に、凛音の言葉は遮られた。

苑花というのは瑞生の妹のようだ。

いきなり電話をかけているが、まさか本当に気分転換をさせるつもりなのだろうか。




< 205 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop