身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
「そうだ、胎教にいいCDもあるから、よければそれも」

「ど、どうもありがとうございます……」

店に着いた途端、凛音は何故か二階の住居スペースに案内され、リビングでお茶をいただいている。

一時間ほど経つが、シュークリームやゼリーなどが次々と出されまったりとした時間を過ごしている。

たしかここは美容院で、凛音はシャンプーやカットをしてもらうのだろうと思っていたのだが、その気配はまるでない。

苑花は時折そわそわする様子を見せながらもローテーブルを挟んで凛音の向かいに座り込み、おしゃべりを楽しんでいる。

「あの……今日はこの後、シャンプーとか、カットとか……していただけるんですか?」

話が途切れたタイミングで、凛音は遠慮がちに尋ねた。

瑞生の突然の思いつきによってここに連れて来られたときは驚いたが、実は最近体調不良で美容院に行けずにいる。

せっかくの機会なのでショートカットにしてもらおうかとも考えていたのだ。

「えーっと。それは全然かまわないんだけど。……そうね。そろそろいい時間かしら」

「そろそろ?」

苑花はちらりと時計を見て、なにやら考え込んでいる。


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