身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
柊吾は凛音の隣りに腰掛け、写真集を開く。

「凛音に渡した以外にもう一冊もらったんだよ。俺も本条遙人の作品には興味があるし、なにしろこれから関わりが深くなるひとだからな」

「あ……」

凛音の脳裏に瑠依の姿が浮かび、身を固くした。

もう一冊もらったというのも瑠依からだろう。

それに本条遙人は凛音の父親だ。

結婚を考えているのなら義父となる相手。

当然関わりも深くなる。

そうなると、柊吾は凛音の父親だけでなく瑠依とのつきあいも始まるのだ。

写真集を手配してもらうくらいだから今もふたりにはそれなりの付き合いがある。

身内となればさらに関係は深まるはずだ。

真剣な眼差しで写真集のページをめくる柊吾の手元を、凛音はぼんやりと眺めた。

「これだ。この一階が美術館になってるマンション。一生のうち一週間くらい住みたいんだよな」

柊吾が開いて見せたのは、エントランスに圧倒的な存在感を放つガラスウォールがある美術館だ。

凛音はどうして柊吾が突然それを確認するのかわからない。

ただでさえ瑠依の存在を思い出して心が大きく揺れているというのに。



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