身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
柊吾はそんな凛音の気持ちに気づかないまま、写真集をふたりの膝の上に置いた。

「たしかにここにしばらく住んで美術館に通いたいと思ってますけど……?」
 
凛音は戸惑いの表情を浮かべた。

すると、柊吾はみるみる大きな笑みを浮かべ凛音の耳元に顔を寄せた。

「しばらくと言わず、ここに住んで気が済むまで美術館に通っていいぞ」

かすれた声が鼓膜を刺激し凛音の身体が震えた。

凛音がちらりと視線を向けると、甘い感情を宿らせた柊吾の瞳と目が合った。

その途端、凛音の鼓動がとくんと大きく跳ね、一瞬で全身が熱を帯びた。

そして柊吾以外のなにもかもがどうでもよくなり、瑠依への複雑な感情は小さくなっていく。

柊吾から離れようと決めたときの苦しみに比べれば、瑠依の存在は大したことではないのだ。

凛音は柊吾のなにげない仕草ひとつで浮上する自分がおかしくなるが、それはそれで幸せだと感じた。

「あの、ここに通っていいってどういうことですか」

気持ちを落ち着けながら、凛音は答えを求めるように視線を向けた。



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