身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
やんわりと柊吾をたしなめる凛音の声に、柊吾は気持ちを切り替えるように数度首を振る。

「……わかったよ。だけど凛音は俺のもの。それだけは忘れるなよ」

凛音の顔を覗き込み、柊吾はゆっくり言い聞かせた。

日に何度もそう口にする柊吾に、凛音は大きな笑みを浮かべて答える。

「わかっています。私は柊吾さんのものだから安心してください。なんといっても私は柊吾さんが唯一かわいがっている籠の鳥ですからね」

「自覚してるなら、それでいい」

凛音の言葉を待っていたかのように即答し、柊吾はようやく落ち着きを取り戻す。

「あの、そろそろご入場です。よろしいですか?」

係の女性がふたりのやりとりの合間を狙って声を掛ける。

背後からタイミングをみていたようだ。

「あ、はい。すみません。よろしくお願いします」

凛音は今の会話を聞かれていたのだろうかと恥ずかしく、ぽっと顔を赤らめた。

すると、柊吾が凛音の耳元に顔を寄せた。

「愛してるよ。この先俺がどうなっても離れるな。俺の側にいろ」

凛音がその言葉に胸を熱くしたと同時に目の前の扉が開き、結婚行進曲が響き渡った。



【完】


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