身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
凛音の体は柊吾好みに作り替えられ、遠目から柊吾の姿を見るだけで満足していた頃には戻れない自分に、凛音は愕然とした。

初めて柊吾を知ったのは凛音が高校三年生のときだった。

姉の瑠依がひとり暮らしをしているマンションを訪ね合鍵で部屋に入ると、リビングから瑠依の固い声と聞き慣れない男性の声が聞こえてきた。

『私が悪い。だけどどうしようもないの。気持ちは変えられないし、変えたくない。彼の子どもを妊娠してる。だから、別れてください』
 
突然耳に入った瑠依の声に凛音は動きを止め、そっとリビングを覗いた。

真っ先に目に入ったのが、瑠依から別れてほしいと言われて苦しげな表情を浮かべていた柊吾の横顔だった。

瑠依の隣にはもうひとり男性がいて、瑠依とともに頭を下げていた。

『本当にごめんなさい。柊吾を裏切って申し訳ないけど、彼の子どもを産みたいの』
 
毅然とした態度で柊吾に想いを告げる瑠依はとてもキレイで、新しい恋人を心から愛しているのは明らかだった。

『わかった』
 
柊吾の絞り出すような声を聞いたとき、凛音は柊吾の苦しく切ない決断を察した。



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