身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
愛しているからこそ柊吾は瑠依の気持ちを尊重し、泣く泣く身を引いたのだろう。

瑠依は妊娠しているのだ、そうするしかないと諦めた違いない。

凛音はそのやりとりを目にして以来、柊吾に特別な想いを抱き続けている。

自分の気持ちを押し殺し瑠依の幸せを優先した柊吾。

その痛々しい横顔には大人の色香が見え隠れしていて凛音の心はときめいた。

いわゆる初恋だ。

その後偶然柊吾がハギモリビールで働いていると知ってからは、少しでも近づこうと努力を重ねた。

そして幸運にも柊吾との縁がつながり凛音は柊吾を愛し抱かれる日々が始まったのだ。

「だけど、初恋は実らないって本当だな」
 
仕事を終えた凛音は重い足取りで駅に向かいながら、小さく苦笑した。

結局、自分は柊吾から特別な言葉をもらったわけではない。

付き合おうとも好きだとも言われたわけではない。

柊吾が凛音を抱くのは、凛音が元恋人である瑠依と似ているからだ。

もしも自分が瑠依の妹だと知ったらどんな反応を見せるだろうと何度も考えたが結局言えないままだ。



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