身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~

久しぶりに戻ったひとり暮らしの自宅は、まるで他人の家のようだった。

柊吾の家で同居しているにも等しい日々が長く続き、いつの間にか凛音の帰る場所は柊吾の家になっていたのだ。

その事実に呆然とし柊吾と別れた後自分はどうなるのだろうと、凛音はぶるりと肩を振るわせた。

その瞬間にも軽い目眩を覚え、なにもする気になれない凛音はリビングのソファに寝転んだ。

朝からまともに食事ができないまま一日を終え、心身ともにくたくただ。

久しぶりの自宅はやたら静かで寂しく、凛音は目の前のローテーブルの上にあるリモコンを手に取りテレビの電源を入れた。

すると滑舌のいい女性の声が部屋に響き、凛音はむくっと体を起こした。

「なんていうタイミング……」
 
画面には古びた建物の前に立つ小高香波の姿が映っている。

彼女はこの時間のニュース番組でサブMCを務めているのだ。

アップにも耐えられる彫りが深く目力の強い顔はとても美しく、片手にマイク、もう一方の手にタブレットを持ってレポートを続けている。

彼女は見た目の美しさも評判だが、報道担当の硬派なアナウンサーだ。

今も最近明るみに出た虐待事件の背景について解説している。




< 36 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop