身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
凛音の目からぽろぽろ涙がこぼれ、画面に映る小高香波の凜々しい姿が次第にぼやけていく。

目の奥が熱く、気分も相変わらず優れない。

凛音は沈む気持ちを振り払うように手の甲で涙を拭い、軽く息を吐き出した。

「こういうときはお風呂に入って気分転換しよう」
 
このまま座り込んでいるとますます落ち込みそうで、凛音は無理矢理ソファから立ち上がった。

「あ……」

立ち上がった途端くらりと目眩を覚え、慌てて両足で踏ん張り転倒を免れた。

空腹のせいで貧血を起こしたようだ。

そのとき、スマホからメッセージを知らせる音が響いた。

柊吾からの返事かもしれないと思い、凛音はバッグの中からスマホを取りだした。

けれど、画面に表示されていたのは瑠依の名前だった。

【クライアントとの打ち合わせで父さんと仙台に来てます。極上の仙台牛を送ったから堪能してね。父さんはこのところ凛音に会えていないから寂しがってるよー。親孝行メッセージでも送ってあげて】
 
元気な声が聞こえてきそうなメッセージに凛音は笑みを浮かべた。

瑠依は出張や旅行で遠出したとき、その土地のおいしい食材やスイーツなどの名産品を送ってくる。


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