身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
運転席の柊吾は前方を見つめたまま小さく頭を横に振った。

「無理しなくていい。食事を用意してもらうために迎えにいったわけじゃない」

「あ……はい。でも」

「体調が悪くないならドライブついでに食事をして帰ろう」

「でも……もう遅いし明日も仕事だし」

「気にするな。今夜は凛音がぐっすり眠れるように善処するって言っただろう? 少しくらい遅くなっても平気だ」
 
柊吾は躊躇する凛音の言葉を聞き流すと、ちょうど差しかかった交差点を右折し高速に乗り入れた。

「え、柊吾さん? どこに向かってるんですか?」

柊吾は高速に入るとスムーズに加速し楽しげに笑い声をあげた。

「すぐに一般道に降りるから心配しなくていい。この時間は高速を使った方が断然早いんだ」

「……それはそうでしょうけど」
 
いつもながらさっさと事を進める柊吾に凛音は苦笑する。

迷わず高速に入ったところを見ると、柊吾は店に心当たりがあるようだ。

「三つ目の出口で降りてすぐの場所に評判のトラットリアがあるんだ。食べられそうか?」

「やっぱり。……いえ、イタリア料理ですね、楽しみです」
 
予想通り柊吾には目的の店があったようだ。



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