身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
かあっと熱くなった体をごまかすように凛音は柊吾から視線を逸らし、ぎこちない動きで腰を下ろした。
 
「デザートはテイクアウトもできるみたいだけど、どうする?」

答えは聞かなくてもわかっているとばかりに尋ねる柊吾に、凛音は破顔し何度もうなずいた。

「もちろん、お願いします」

凛音はスプーンを手にしたまま子どものように声を弾ませた。





ふたりがコーヒーを飲み終え店を出たとき、すでに時刻は二十三時を回っていた。

「とても落ち着いた街ですね」

店の裏手にある駐車場に向かいながら、凛音は外灯に照らされた周囲をキョロキョロと見回した。

人通りもまばらで一見寂しげだが、建ち並ぶ家の窓から漏れる光は優しく、人の気配も感じられてホッとする。

「開発がようやく完了してどの家もまだ新築だ。これから住民たちが協力して街を作りあげていく……その最中ってところだな」
 
柊吾はテイクアウトしたデザートが入ったクーラーバッグを手に、凛音を振り返る。

そこにはパンナコッタ以外にもティラミスやジェラートまでもがバッグに入っている。

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