身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
凛音は受け取った写真を確認する。

「うちの工場ってどこも似ていて外観だけで見分けるのは難しいから。私も全工場を見て回ってようやく写真だけでも見分けられるようになったの」

「え、全工場ですか?」
 
目を丸くして驚く伊藤に、凛音はこくりとうなずいた。

「出張で行く以外にもプライベートで訪ねてようやく。一年以上かかったかな」
 
柊吾にも協力、同行してもらい全国に十か所ある工場すべてに出向いたのだ。

工場ごとに棲み分けされた商品や工場の特徴を知ると、仕事への向き合い方も変わる。

商品が生産される流れはもちろん、本社の高層階で書類やデータを眺めるだけでは知ることのない従業員たちの熱意や誇りを知り、商品への愛着がいっそう強くなった。

「どの商品がどの工場で生産されているのかを知るだけでも、売上速報の見方も変わってくるし、数字がよければ工場の人たちが喜ぶ顔が浮かんでうれしくなるの。あ、来月の初めに社長が北海道工場に視察に行かれるから今後のためにも同行する?」
 
凛音の提案に伊藤は一瞬目を輝かせるが、すぐに不安気に顔をしかめた。




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