百怪談
私は智則のその行動にドキドキしていました。



やってはいけないことをしている予感と、もしかして起こるかもしれない怪異に私は期待をしていたのです。



私と智則が木箱の中身を確かめると、そこには髪の長いボロボロの日本人形が入っていました。



そのボロボロの日本人形は、もしかしたら戦前のものかもしれないと思うほどに古くて、私たちはそのボロボロの日本人形に見入っていたのです。



「何だよ、この人形。

気味が悪いな」



「もう戻ろうよ。

ここが最後の部屋だし」



「ああ、そうだな」



私たちがそんな会話をして振り返ったときのことです。



この部屋のドアが勢いよく閉まり、部屋の明かりが消えたのです。



私は突然起きた予期せぬ出来事に息をのみ、智則の方に目を向けました。



でも智則は、そんな私に反応もせずに、じっと前だけを見つめていたのです。
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