カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

「私、考えが甘かったのかもしれません。月城さんのことを想うなら転職すべきじゃなかった」
「そんなことはない」

月城さんは即座に否定した。

「前に言ったよな?俺は男にしてもらうのが当たり前、みたいな女性に魅力は感じないって」

たしかに記憶のある言葉で頷くと月城さんは続けた。

「俺は新しい世界に飛び込んだ咲だからこそ好きなんだ。不安で怖くて、今も大変だよな?でも咲は弱音を吐かない。むしろ電話で聞く話はいつも楽しそうだ。そんな咲を応援したいと思うし、素敵だとおれは本気で思っている。転職を、俺を理由に後悔したりはしないでくれ」
「すみません」

俯き、謝ると頭に手が乗り、優しく撫でられた。

「俺はきっとこの先ずっと咲のことが好きだから。目一杯やりたいことやっていつまでも俺を魅了してくれ」
「はい!」 

頷くと月城さんは微笑んでくれた。

「ただ、なかなか会えないのはやはり寂しいから会えた時は目一杯咲を堪能させて」

月城さんはそれから会えなかった分を埋めるように時間をかけて全身余すところなく愛してくれた。
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